『契約ドムがはなしてくれない』発売記念 あまみや慈雨先生インタビュー

帯入れ込みイメージ

インタビュー

新作『契約ドムがはなしてくれない』は、「ビーボーイ創作BL大賞」の受賞作ですが、どのようなきっかけでコンテストに応募されたのでしょうか?

 2022年の夏のある日、以前友人の勧めで創作活動に強い占い師さんに占って頂いた際「2022年から2023年にかけて名前が売れていくよ」と言われていたのをふと思い出す→「じゃあ種まきくらいは自分でしておくか」と開催中のコンテストを検索してみる→偶然行き当たる。みたいな感じです。

コンテストに応募するにあたり、苦労されたことや楽しかったこと、印象的だったエピソードがあればお聞かせください.

 ドムサブ初挑戦+好きな要素を詰め込んだものだったので、ずっとわくわく楽しみながら書きました。

受賞の連絡を受け取ったときはどのようなお気持ちでしたか?

「なにかの間違いかもしれないから、あまりはしゃがないでおこう」でした。
 ただ、選評で苦手なキャラ造形をちょっと褒めていただいたので、平静を装いつつ心の中ではかなり嬉しかったです。
 それから、総評に「受も攻も事情を抱えていて、人間的に完璧では無くて、右往左往したり、強く見えても弱いところがあって、その中で出会い、やがて支え合って、前に進んでいく……」という一文があって、それはまさに私がBLを書く上で心がけているところだったので、今までやって来たことは間違ってなかったんだなあと思って、それもまた嬉しかったです。

『契約ドムがはなしてくれない』は、どんな物語でしょうか?

 妹の結婚資金を稼ぎたいサブの陽太(はるた)と、グレアをコントロール出来るようになりたいドムの弓削(ゆげ)がプレイ用の会員クラブ、アンダー・ザ・ローズで出会い、始まりは契約だけの関係だったのにいつしか本気になってしまう、甘い運命の物語です。

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

 慈雨は「干天の慈雨」という言葉が好きで、そこから。あまみやは漢字だと「天宮」なのですが、読者さまが見つけやすいように平仮名表記にしました。読んでくださった方にとって干天の慈雨となるようなものを書き続けていきたいな、と思ってつけたPNです。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

 タイトルは、ぱっと見てすぐに大体の内容とセールスポイントがわかるようにしたいなと思っています。限られた時間の中で、読者さまが見つけやすいようにです。
 今回なら「ドムサブで、契約から関係が始まったのに、いつの間にか本当の恋愛になるのかな?」と一瞬で予想していただけるようにつけました。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

 ドムサブの美味しいところ全部のせ!! を意識しました。
様々なコマンドとそれに応じたプレイ、サブドロップとケア、一度パートナーになると世話焼きになってしまうドム、従うことによってむしろ解放されるサブ、セーフワード……などなど、ドムサブ設定で魅力的だなと私が感じるところを全部入れました。書き下ろし後日談でセーフワード改定とカラーのお話も入れられたので、ほぼ網羅していると思います。
 痛かったり怖かったりしない甘々ドムサブの入門書として、長く愛していただけたらと思っています。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。 (名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)

 ドムサブという特殊設定の世界にすっと入って頂けるよう、陽太は王道の健気な受にしました。健気な性格に見合うよう名前も「はるた」という、可愛い響きに。シマエナガ顔という設定も気に入っています。
 弓削は、もう、とにかく現実が不景気過ぎてつらいので、ちょっと懐かしい感じのする王道お金持ちスパダリになってもらいました。名前ははるたと対照的になるよう、ちょっとシャープな響きを選びました。私は正しく沢山お金を使ってくれるお金持ちが大好きなのですが(笑)、弓削にはノブレス・オブリージュをもりもり発揮してもらって、読んでくださった方にも「お金持ちスパダリはやっぱりいいなあ、このお金の使いっぷり癒やされるなあ」と思っていただけたらなと思っています。

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか? 

 陽太はただ健気なだけでなく、そうなってしまった理由があり……家族や親の期待、人生において背負うものがある方には共感していただけるキャラになったのではないかなと思っています。いつも人のために生きていて、自分の幸福を受け取るのが怖い。
 弓削は弓削で、たまたまお金持ちの家に生まれついたばかりに、不当に妬まれたり裏切られたりを経験していて、人間的にちょっと不器用です。
 ドムとサブとして運命的に出会ったことで、欠けた部分がちょうど満たされる。そんな二人です!

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

 実は弓削にはモデルというか、エピソードのヒントをくださったお金持ちがいます。銀座でお寿司を奢ってもらいながら「そのスパダリエピソード、パクっていいですか?」と訊ねたら、快く「もちろん!」と言って頂けたので、今回アレンジして使わせて頂きました。主に豪快な買い物の辺りです。

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

 行き詰まりそう……と思ったら、重症になる前に、さっと喫茶店、美術館、博物館、映画館、銭湯、マッサージ、ジムのどれかに行ってしまうことにしています。
 特にジムは、もやもやした気持ちというマイナスのものをぶつけることで筋肉というプラスのものに変換できるのでお得感があるなと思っており、これを「ひとりエネルギー循環型社会」と呼んでおります(笑)多分弓削も同じこと思っていそう……マンションと会社にトレーニングルームがありそう……。

BLで萌えるシチュエーションやキャラクター設定を教えていただけますか?

「自分ではイケてると思っている攻が運命の受に出会ってしまい、身も世もなく翻弄されて人生が一変してしまう」のが大好きで「なにをやってるんだ、俺は」とか「こんなはずじゃ……」みたいな独白は1年365日年中無休で聞いていたいです。体の関係から始まって本気になってしまうお話も大好物です。それから全裸でも靴下ははいておけ派で……よく考えたら今作は全て入っていますね……。あと手袋も好きなんですよね……。
 それから、今作は違いますが、ツンデレ受が三度の飯より好きです。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

 読みやすさ、わかりやすさ。
 そしてなんと言っても「この受と攻だから出会ったんだな!」というキャラクターの関係性です。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

 アンダー・ザ・ローズの他のプレイメイトのお話も書いてみたいです。あとはケーキバースに挑戦したいですね。なぜならこれも攻が振り回されてくれそうだから(笑)
 世界観でいったら、オスマン帝国の後宮や大正ロマンが好きなので、その辺りも。
 それから、映画やドラマが好きで実写化に強い憧れがあるので、実写化されるようなボーイズライフも……節操がないですが、一作一作、常に新しいことに挑戦していきたいです。

単行本化へのお気持ちや意気込みがあればお聞かせください。

 まさか紙書籍にしていただけると思っておらず……たぶん、書店様の店頭で見かけるまでずっと疑い続けると思います(笑) ASH先生のイラストが大変素晴らしいので、ぜひお手元にお迎えください。

読者様にメッセージをお願いします。

 ここまで読んでくださり有り難うございました。
「契約ドムがはなしてくれない」は、日々子育てや仕事で心身共にくたくたになり、そんなときBLにハマって一通り味わって、そろそろドムサブにも興味が出てきたけど、痛かったり怖かったするのかな? と二の足を踏んでいる、そんなあなたのために書きました。
 この、ただ生きるだけで色々しんどい時代に、一瞬でも癒しになれたらと思っています。ドムサブ入門書のひとつとして、ぜひお手に取っていただきたいです。

契約ドムがはなしてくれない

著:あまみや慈雨

イラスト:ASH

リブレ/B-BOY NOVELS

発売日:2024年02月19日

契約ドムがはなしてくれない

STORY

関係解消の セーフワードは「大好き」

派遣社員の陽太は大事な妹の結婚費用を稼ぐため、裕福なドムたちの会員制クラブで働き始める。そのクラブのセーフワードは「大好き」。その言葉を口にすれば関係は簡単に解消されてしまう。一方、ドム性のコントロールのためにクラブを訪れた弓削は、初指名した陽太の純粋さに無意識のうちに惹かれ「おまえを、一ヶ月買い切る」と言いだす。突然、洋服も食事も贅沢なほど与えられ、陽太は戸惑うが、裕福ゆえの弓削の苦悩などを知るうちに彼に魅かれてしまい、プレイ中におもわず…。

特典情報

コミコミ特典書き下ろしSSペーパー

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※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

©️あまみや慈⾬・ASH/リブレ

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